ウォンマガ夏フェス2016

お題:簪・ペンダント・カチューシャ・ブローチ・イヤリング | 絵:はに | 文:ささめ

ひとつ語り


0時の幽霊

  これは夢だ。そうに違いない。
男、阿近 陽麻(あこん はるま)は呆然と立ち尽くしていた。自分は、今日の残業を終えて、くたくたになった身体に鞭打って帰路を歩いていたはずだ。深夜0時を回るころ、住宅街に人の姿はなく街灯へ群がる蛾がちらちらと影を作っていた。あと数分で自宅に着くはずだったのに、ここはどこなのか。
どうやらここは薄暗い部屋のようで、足元には柔らかな黒い絨毯が敷かれている。部屋の壁は暗闇と同化して、広さはわからなかった。目の前にはアンティーク調の長テーブルが置かれている。木製でよく磨かれており、等間隔に伸びる木目が美しくわずかな光をしっとりと反射させている。テーブルの上にはきらきらと輝くアクセサリーが五つ、並べられていた。アクセサリーなんてほとんど興味がないのに、それらには不思議な吸引力があった。薄暗い部屋の中、さも夜空の星のようにきらきらと、瞬く。陽麻は、視線を引き寄せられ、しばらくアクセサリーを眺めていた。
「好きなものをお選びくださいな」
不意に声が聞こえて、陽麻は弾かれたように顔を上げた。レースのような不思議な素材の薄いカーテンの奥に人影が見える。その人影は、腰まで届く黒髪にドレスを着て、上品にソファに腰かけていた。顔は影になっていて見えないが、その佇まい、その声に、彼は覚えがあった。
「みつ、き……」
男の喉からぽろりと零れ落ちたのは、彼の恋人の名前だ。病気がちで、三か月前に息を引き取った。陽麻は目玉が転がり落ちるくらい目を見開いて目の前の人影を見つめるが、しかしどれだけ目を凝らしても顔がわからない。黒いもやがかかっているかのようだ。
「さて、あなた、遠慮はいりませんのよ。お好きなものをひとつ、差し上げます」
人影は暗闇にとけてしまいそうな柔らかい声で陽麻を促した。彼はしばらく身じろぎしなかったが、ぎゅっと目を瞑ると頭を二、三度左右に強く振り、これは夢だ、と心の中で繰り返す。
「僕はアクセサリーなんていりません。ここはどこですか」
目の前の女性は、あら無欲な人ね、と笑った。
「あなたはそれをどう扱っても良いの。人にあげてもいいし、売ってもいい。捨てたって構わない。ほら、もう一度よくご覧なさい」
その声は夜の海のように穏やかなのに、抗わせない響きがあった。彼は視線を落とす。薄明りの中で水面のように輝くアクセサリーたち。どれも眩しく美しいが、その中で彼の目に留まったものがある。
「そのイヤリングがいいのね?」
イヤリングには乳白色の石が連なっており、真珠のように丸く艶がある。そしてその影は不思議と赤く光っていた。それは、死んだ恋人に似合いそうだと思ったのだ。陽麻は顔を上げて女性の影を見る。相変わらず顔は見えなかった。
「それは真実を映すのよ」
どういう意味か問おうと口を開いたところで、視界が真っ暗になる。気がつくと、陽麻は人気のない住宅街にぽつんと立っていた。街灯がじらじらと彼の背を照らしている。やはり夢だった、と思う前には、その手のひらの中の微かな重さと滑らかな質感に気がついていた。


陽麻の死んだ恋人は、深月という。三か月前に心不全で命を落とした。
彼女は美しく心の優しい女性だったが、元来身体が弱く入退院を繰り返していたのだ。日々悪化する体調は、本人が一番よくわかっていただろうに、いつも自分の運命を受け入れているかのように穏やかに笑う人だった。両親は既に亡く、肉親は妹ひとり。寂しげな影を負う彼女を支えていたのが、陽麻である。
二人は婚姻届を出していないものの、ほとんど結婚しているようなもので、駅から徒歩十五分、広くはないが小奇麗なマンションの一室で、二人は暮らしていた。深月は身体の弱さから働きには出ず、家事が彼女の仕事だった。家を隅々まで掃除して、陽麻が育てている植物に水をやる。濃い紫の花をたくさんつける美しい花だ。彼女はその花を見て「藤の花をさかさまにしたみたい」と笑っていた。それから仕事から帰ってくる彼のために夕食を作る。ふわふわの手作りパンに肉汁滴るローストビーフ、トロトロのビーフシチューや甘さ控えめのフルーツタルト、独り暮らしで働いている人にはできないような手の込んだ料理だ。
料理をするのはほとんど深月だったが、寝る前には必ず陽麻がホットミルクを作った。濃い牛乳に、たっぷりのはちみつと少しのスパイスをとろりとかき混ぜる。一口飲むと身体がぽかぽかと温まるのだ。
彼女の体調が悪化して入院するようになってからも、陽麻は毎日見舞いに行き、特製のホットミルクをご馳走するのだった。
二人は本当に仲睦まじくて、いつも笑っていて、病院でも看護師の間で話題になるほどである。陽麻は献身的に深月を支え、彼女もまた悪化し続ける体調を悟られまいと強気に振る舞っていた。そんな二人を、どうか無事に退院できますようにと、多くの人が祈っていたことを彼らは知らない。そしてその祈りは虚しくも届くことはなく、彼女はこの世を去ったのだった。


その週の土曜日、陽麻は深月の墓前を訪れていた。午前中でも梅雨明け後の日差しはきつく、じりじりと彼の首まわりを焼いていく。額から滴る汗をぐい、とハンカチで拭った。せめて日陰ならよかったのにと頭の片隅で思う。
陽麻は買ってきた花を墓前に供えて、鞄の中のイヤリングを取り出した。イヤリングの飾りは薄明りの下では乳白色をしていたのに、夏の日差しのせいか今はルビーのように透き通った色をしている。
このイヤリングが何なのか、そもそもあの出来事は何だったのか、彼は未だに理解できていない。それでもこの手の中にある重みは本物だし、深月に絶対似合うと思ったときにどうしてか墓前に供えなければならない気がした。ずっとこの場所を避けていたというのに。
陽麻は赤く輝くイヤリングを供えると手のひらを合わせて瞼を落とした。汗が地面にぱたりと落ちる。自分の存在を主張するかのように、どこかで蝉が喧しく鳴いていた。
「この、どのツラ下げて、お前が!」
後方から、怒声と共に生ぬるい水が陽麻を襲った。背中にぶつかった水は思い切りはねて、彼の肩や襟足を濡らす。Tシャツが肌に張り付いて気持ち悪い。眉をしかめて振り返ると、そこに立っていたのはショートカットの小柄な女性だった。肩を怒らせ、手負いの獣のように荒い息をしている。柄杓と手桶を握った手が震えていた。
「あおい……」
ぽたぽたと水だか汗だかわからないものを滴らせながら、陽麻は呟いた。彼女はあおいと言って、深月の妹だ。おとなしい深月とは反対に、活発で気の強い少女だった。
彼女は地面に葉を広げるスベリヒユを踏み散らしながら彼に近づく。歩きながら恨みを込めて彼を睨み、手桶と柄杓を乱暴に放り投げる。そして墓前に供えられたイヤリングを掻っ攫うと叩き付けるように陽麻に投げつけた。ぎょっとした陽麻は、慌ててそれを腕で捕まえる。危なかったがなんとか落とさずに済んだ。何をする、と抗議をするより早く、あおいが叫んだ。
「二度とお姉ちゃんの墓に近寄るな、この人殺し!」
陽麻は目を丸くしてまじまじとあおいを見つめた。
「なんだ、突然。どうして僕が人殺しなんだ」
「とぼけないで。あんたがお姉ちゃんを殺したんだ」
「ちょっと、落ち着いて。あおいは何か勘違いしてるんじゃないか」
「勘違いなわけあるか。わかってるんだよ全部」
彼女はギラギラとした目つきで陽麻を睨み続けている。風がいくらか吹いて、二人の髪を揺らした。どうやら近くにヨモギが生えているようで、ふわりとほのかに甘い香りが漂う。
「こんなところで喚き散らさないで。ほら、ほかの人の迷惑になるから」
「それは好都合だね。あんたが人殺しだってこと、ここにいる人みんなに言いふらしてやる」
「わかった、わかったから。一度僕の家に行こう。そこで話そう」
あおいは訝しげに眉を寄せた。しばらく黙って陽麻を睨んでいたが、ふいとそっぽを向いて頷いたのだった。


彼の家はここから二駅先にある。電車の中の人はまばらで、弱冷房の風を受けながらみな気だるげに座席に寄りかかっていた。電車から降りた後はじりじりと熱を反射するアスファルトを歩く。太陽は容赦なく照り付け、汗で襟首はべとべとだ。墓地を離れてから二人の間に会話は一切なく、あおいはずっと陽麻の五、六歩後ろを歩いていた。陽麻はときどき振り返ってあおいがついてきていることを確認するが、特別話しかけたり歩調を合わせたりするようなことはない。
陽麻が足を止めた。あおいも続けて足を止める。目の前には三階建てのマンション。白い壁が日光を反射してえらく眩しい。陽麻は、ついてこいとでも言うかのようにあおいを一瞥すると、階段を上っていった。
「あっつー……」
自宅に戻った陽麻の第一声だった。室内に熱がこもってサウナのようになっている。適当に靴を脱ぎ散らかして家に上がると、迷わずクーラーのリモコンを取った。ピッという機械音と共にクーラーが動き出す。
「玄関に突っ立ってないで。あがって」
靴も脱がずにぼうっとしていたあおいは、瞬きを何度か繰り返すと、のろのろと靴を脱ぎ始める。丁寧に揃えてから、部屋へと入った。家の中は意外なほどすっきりと片付いていた。それでも、深月が亡くなって数か月経ったが、未だに彼の家には彼女の面影が色濃く残っていた。お揃いのマグカップに、彼女のお気に入りのクッション。写真立てには二人が旅行先で撮ったものが飾られているし、スリッパもまだ残っている。あまりに色濃い。あおいがなんとも言えない気持ちでぼんやりと室内を観察していると、自動掃除機が静かに足元を走っていった。
「麦茶でいいでしょ」
陽麻が冷蔵庫を開けながら声を張り上げた。はなから返事など期待していないようで、あおいが何も言わずとも飲み物を準備していく。カランコロンとコップの底で氷が涼しげな音を立てた。
「熱中症予防には麦茶に塩を入れるといいんだって。入れとくね。あ、適当に座ってて」
促されるまま、あおいは革張りのソファに座る。ゆっくりと身体が沈み込んだ。
「深月はミルクティーが好きだったよ。はい、これ」
陽麻はガラステーブルの上にコップを二つ置く。深い焦げ茶色の中で氷がゆらゆらと揺れている。それから彼はキッチンからイスを持ってきてあおいの正面に座った。
「暑かったでしょ。駅からちょっと遠いからね。遠慮しないで飲んで」
あおいは何一つ返事をせず、彼の顔を見ることもなかった。
「……花は?」
「花?」
「お姉ちゃんがよく喋ってた。あんたが大事に育ててる花があるって」
「ああ……。枯れちゃったから捨てたよ」
陽麻は少し眉を下げた。そして自分の分の麦茶を飲む。冷房が効いてきたようで、室内からはこもった暑さはなくなっていた。
「お姉ちゃんは昔から身体が弱かったけど、心臓の病気なんて持ってなかったの」
「うん。だんだんといろんなところが悪くなっていった。……あおい、喉が渇いただろう? 飲みなよ、それ」
麦茶の氷が溶けて、からんと透き通った音がする。あおいはじっと目の前のコップを見つめていた。
「思い出してみればさ、あんたと一緒に暮らし始めてからだよ。心臓が悪くなったの」
「そうなの?」
「……お姉ちゃん、美人で大人しいから。昔から変な男に目をつけられて。しかも粘着質のキモイやつらばっか」
「なんだそれ、教えてくれたら僕がぶっ飛ばしてやったのに」
あおいは視線を麦茶から外して、ようやくまっすぐ陽麻を見た。その顔はまるで柳の下の幽霊のようで、恨みがましく、怒りが溢れていて、それでいて裏切られたという悲しみが、そこにあった。
「だから私、いつも心配してた。あんたは大丈夫だと思ってたのに」
「僕が悪い虫で、粘着質のキモイ男だって? 冗談はよしてくれ。僕は、純粋に彼女のことを愛している。一緒にするな」
彼の表情は真剣で、その声色には苛立ちさえ感じられた。疑うなんて信じられないとでもいうように。しかしあおいは顔をしかめるだけだった。そして、唐突に話を変える。
「ねえ、私の麦茶に何を入れたの」
「え?」
「それ、何が入ってるの」
「だから、塩だって」
「それならあんたが飲んでみせて。一滴残らず、今、この場で」
彼女は語気を強めてまくしたてる。それに対して陽麻は肩をすくめて苦笑いをした。
「僕は自分のぶんを飲んだから。これ以上飲んだら水っぱらで気持ち悪くなっちゃうよ」
「トリカブト」
「え?」
「トリカブトでしょ、それに入ってるの」
途端に沈黙が落ちた。陽麻は黙ってあおいを見ている。その表情に色はない。二人の息遣いとクーラーの稼働音だけが聞こえる。二人はしばらく睨み合ったあと、陽麻がやれやれ、とため息をついた。
「何、嫌がらせのつもり? 自意識過剰もほどほどにしなよ。それとも小説の読みすぎ?」
あおいは陽麻を睨んだまま、コップに手を伸ばす。ガラスの周りについた水滴が指を濡らした。
「あんたが認めなくてもいい」
コップを持ったまま立ち上がって、鞄を肩にかける。何も言わずに陽麻に背を向けると、玄関へと走った。陽麻は慌てて立ち上がり、しかしそのせいで椅子が倒れて蹴つまずいたようだ。麦茶がこぼれてあおいの服やフローリングの床を汚したが、目もくれずに靴を履き、ドアノブを回した。しかし、外に出ることは叶わなかった。追いついた陽麻にコップを持つ腕を強く捕まれ、身動きできない。
「どこ行くの?」
彼は、薄っすらと笑った。あおいの腕に、彼の爪が食い込む。
「離して!」
あおいが身を捩って抵抗したが、彼はびくともしない。それどころかものすごい力で無理矢理室内へと引っ張っていく。その衝動で、思わずコップを落としてしまう。鋭い音と共に、麦茶とガラス片が散らばった。しかし、そんなもの見えていないかのように、彼はあおいを引きずっていく。あおいが靴のまま部屋を歩くのも気にしていないようだった。
リビングを抜け、寝室らしき部屋へと投げ込まれる。あおいは乱暴に突き飛ばされ、尻もちをついて陽麻を見上げる。熱気がむわりと二人を包んだ。厚手のカーテンがかかっていて薄暗く、出入り口をふさぐように立つ陽麻の表情は見えない。しかし、切羽詰まったような、助けを求めるような声で、切なげに喉を震わせた。
「僕は本当に深月のことを愛してるんだ。深月も僕のことを愛してくれている。永遠に、ずうっと。だから、僕らの邪魔をしないで」
「やっぱりあんたそうなんだ、それで殺したんでしょう」
「僕らのこと何も知らないで勝手を言わないで」
「なにを言って」
「だって深月がずっと一緒にいたいって言ったんだ。得体の知れない病に殺されるくらいならあなたに殺されたいって」
「でもお姉ちゃんは、」
「これで、これでずっとずっとずうっと永遠に一緒なんだよ。深月は永遠に僕だけのものだ。だからさ、だから僕らのことはそっとしておいて、お願い」
「そんなの。そんなの無理に決まってんでしょ! 警察に行って全部話す、に、」
あおいは、反射的に声を荒げる。それが悪手だったことに気付いたときには既に遅かった。
彼は「そう」と一言呟くと、彼女のその喉元目掛けて腕を伸ばす。あおいは無意識に小さな悲鳴が漏れ、逃げ出そうとしたが、出入り口は陽麻に塞がれている。どうにもできず、すぐに捕まえられて組み敷かれた。
そして彼は躊躇なく彼女の首を掴み、自分の全体重を乗せるように力を込めた。くぐもった嗚咽が彼女の喉から漏れる。彼は、何が見えているかもわからないような目をして、さらに体重をかけて彼女の首を絞め続けた。あおいがいくら暴れても、首への圧力は強くなっていくばかりだ。遠のく意識の中で、もうだめだと人生を諦めた。
そのとき、不意に、彼の胸ポケットから何かが転がり落ちた。燃えるような赤い色をしたイヤリングだ。それはフローリングの床を跳ねて、あおいの耳元へと転がる。するといきなり陽麻の腕の力が抜け、あおいにかかっていた圧力がなくなった。彼女は激しく咳き込んだ。しばらくは咳が止まらず、背を丸めてえづく。涙と涎で顔がべたべたになった。それからしばらくしてようやく呼吸が落ち着いてきたころ、ぶれる視界の中で彼の姿を捉えた。
陽麻は、呆然と空を見つめていた。下でのたうちもがいていたあおいのことなど全く視界に入っていないようだ。呆けた顔で、ぽつりと呟く。
「みつき……」
そして、すぐに表情を明るくして、心底嬉しそうに微笑んだ。
「僕のところに戻ってきてくれたんだ!」
あおいはぎょっとした。いくら目を懲らそうと、この部屋には自分と陽麻の二人しかいない。あとは暗闇だけなのに。彼は一体何と話をしているのだろうか。
「いいや、なんてことないよ。僕もそっちに行こう、待ってて」
宝物を見つけた子どものように頬を赤くして目を輝かせて、彼は一人で空中に向かって話しかけていた。その光景に、あおいはぞっと冷たいものが頭から喉を下って全身に広がっていくのを感じた。
陽麻はバタバタと転がるように部屋から飛び出す。そして靴だけ履いて何も持たずに玄関を開けた。遠くから蝉の声が聞こえる。
「いつの間に夜になったんだろう。いい月だ。きみはやっぱり夜が似合うね」
ちょうど正午になったころだ。太陽はカンカン照りで月など見えるはずもない。
「あのイヤリングをくれたの、やっぱりきみだったんだろう?」
これから結婚式に行くような、心底幸せそうな顔をして、彼は歩き出した。あおいが後ろから声をかけても気づかない。彼がどこへ向かおうとしているのかはわからない。足取り軽やかにどこかへと歩いていき、いつしかその後ろ姿は住宅街に紛れて見えなくなった。
あおいは全身から力が抜けて玄関先にへたり込んだ。コンクリートが鉄板のように暑い。汗が額から頬を伝って腕に落ちた。このときようやく、自分が汗をかいているのに気が付いた。周囲に人影はない。ここにはひとりしかいない。
蝉が遠くで鳴いている。あちこちに反響して、サイレンのように鳴り響いている。頭が痛い。夏の始まりのことだった。